人気ブログランキングへ

Shining Rhapsody

オリジナル小説の投稿がメインです

332話 侵攻20

 332話 侵攻20

 

 

 

ティナ達が学園長から情報を引き出そうとしている頃。ミーニッツ共和国の王都へと侵攻していたルークは、攻略法を模索していた。無論考えるだけではなく、同時に行動も起こしている。

 

「他の属性魔法や魔弾を撃っても効果無し。つまり魔力を掻き消すのは確定。あとは吸収と霧散のどちらかを判断する必要がある、か。乗り込んでみるのが手っ取り早いけど・・・それで身動き取れなくなったらアホだよな。」

 

突撃してみて魔力を吸われたら吸収。非常にわかり易い検証方法だが、試す事は出来ない。否、王城へと赴く必要がある以上、いずれ試さねばならないのだが、それにはまだ早いというだけの事。ある程度の安全を確保しなければならないからである。

 

「接近出来ないのに、魔法はダメ。普通に考えたら詰んでる所だけど・・・物理的な飛び道具を用意すればいいだけだしな。それに、滅ぼすだけなら近付く必要もない。」

 

石弾や風刃、氷の礫といった魔法も掻き消された事から、魔法による事象は一切が無効となっているのだろう。だが自然界に存在している岩や金属等であれば攻撃に使える。これは防壁がその形を成している事からも明らか。

 

そしてルークであれば、魔法による間接的な攻撃で責め滅ぼす事も出来る。例えば火災旋風。炎の竜巻を無数に作り出し、周辺や王都内部を灼熱地獄に変えてしまえば良いのだ。対処する為には障壁のような物を解除しなければならず、その隙に魔法を叩き込んでしまえば良い。

 

他にも試しておくべき手段があるのだが――それは最後でいいだろうと考えていた。

 

 

 

「とにかく、まず試してみるのは・・・投石だな。」

 

ニヤリと笑い、防壁まで500メートル程の位置へ近寄ると、アイテムボックスから無数の石を取り出す。何処でこんな物を、と思うだろう。答えは単純、学園都市の防壁である。粉々に破壊した際、適当に回収していたのだ。簡単に復元出来ないよう、嫌がらせ目的で。

 

 

この世界では弓矢の射程圏内にあたるのだが、弓矢単独であれば幾らでも対処可能。近付いたのは寧ろしっかりと狙いを定める為。

 

「開幕の魔法が不発だったからな・・・1投目は派手に行こう。」

 

何やら不吉な呟きと共に振りかぶる。非常に美しい投球フォームから繰り出されたボール、ではなく石の塊は防壁の門へと一直線。かと思いきや上方へと大きく逸れる。

 

しかしこれはルークの狙い通り。遥か先に見える、王城向かって左手の尖塔最上階を吹き飛ばした。

 

――ズドォォォン!

 

「よし!ストライク!!」

 

余程嬉しかったのだろう。極力控えていた英語を口にする。だが喜んだのも束の間、すぐさま2投目3投目を放つ。

 

――ズドォォォン!ズドォォォン!!

 

2投目は右手の尖塔、3投目は中央の尖塔にそれぞれ命中。どれも見事に最上階を吹き飛ばしたのだった。

 

「我ながら恐ろしいコントロールだな。もう石だけで勝てるんじゃないか?」

 

本当に恐ろしいのは威力である。だがそんな事にも気付かず、呑気に呟くルークには呆れるしかない。確かに投石だけで勝てるのだが、それは石と体力が無限ならばの話。数万の兵と投石だけで戦えるかと言うと、幾らルークでも時間が掛かり過ぎる。

 

「さて・・・城が攻撃されても出て来ない所を見ると、オレを王都内部に引き込む前提の作戦みたいだな。暇なら付き合ってやってもいいんだが、リノア達の件もある。」

 

そう言うと、ルークは腕を組んで考え込む。今回の場合、敵を消し飛ばして終わりではない。ちゃんと首級を手に入れておく必要があるのだ。もし標的が隠れていれば探し出すのに時間が掛かるし、そもそも犯行に加担した人数も定かではない。リノア達の居場所だって捜索する所から始めなければならないのだから、王都侵攻に費やせる時間は半日程度だろう。

 

「あまり時間も無い事だし・・・まずは最初の絶望を味あわせてやろう。」

 

 

そう呟くと、ルークは次々と石を投げ始める。――今度は防壁に向けて。

 

――ズドドドドォン!!

 

ルークの正面に見える防壁が、右側から左へ向かって次々と吹き飛ぶ。巻き起こった砂煙が晴れるのを静かに見守ると、そこには死屍累々となった兵士達の姿が見えた。

 

「被害は・・・防壁付近に居た者達だけか。しかし妙だな。」

 

これ程の被害を受けて尚、相手が攻め込んで来る様子も無い。動かなければ的になるというのに、彼らに動きは見られない。撤退する場所は無いのだから、攻め込むしかないはず。誰でもそう思うのに、そうしないのは何故か。

 

「余程オレを王都に引き込みたい理由があるのか?これは・・・罠、だよな。」

 

十中八九罠だろう。そう断定したルークだが、誰にでも間違いはある。いや、相手によっては正解だったのかもしれない。と言うのも、今回ルークは自分を基準として考えた。それがそもそもの間違いだとは気付かずに。

 

魔法を封じられた状況下で、且つ単身で防壁を破壊。いとも容易く。そのような事を一国の兵達が理解出来るはずもなく、どう対処して良いのかわからなかっただけなのだ。

 

 

そうと気付かないルークは、罠と思いつつ進むのか、それとも回避するかで悩むのだった。