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Shining Rhapsody

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350話 事後処理8

 350話 事後処理8

 

 

自分の見た物がしっかりと伝わっていない。そう思ったルークは、ティナに詳しく説明を行う。

 

「事前に渡しておいたログハウスを出してたし、結界もきちんと設置してた。リノア達の姿は見えなかったから、ちゃんと立て籠もってるんだと思う。で、問題なのは・・・それを守るようにして取り囲む者達と、さらにその外側を取り囲む者達の姿があったって事だ」

「二重に包囲していた訳ではなく、ですか?」

「違うだろうな。包囲する者達が互いに武器を構えて向かい合ってたから」

「何故そのような状況に陥ったのかが気になる所ですが・・・リノアさん達を奪い合っているとは考えられませんか?」

 

仲間割れ。ティナの考えはもっともである。ルークの情報収集に穴があるとすれば、上空からでは声が聞き取れないという事だろうか。まぁ仮に仲間割れだとしても、都合良くその瞬間に立ち会えなければ、声を聞き取っても大した情報など得られない。

 

だが視界のみでも得られる情報は有る。ティナの言う仲間割れの部分に関しては、ルークも同意見だった。

 

「全員の服装が似てたから、仲間割れなのは間違いないと思う。でもティナが考えているような事ではないだろうな」

「何故です?」

「相手が利口な者達なら、結界を破る前に戦力を減らしたりしないだろ?半数でも破れると思っているのかもしれないけど、大人数の方が労力は少ないし確実性も増す」

「確かに・・・」

「まぁ、これはオレの考えであって確実とは言えない。しかも短時間だったから、ほとんどわからなかったと言ってもいいだろうな」

 

控えめに言っているが、リノア達の居場所が知れただけでも大きい。それに、既に捕われていたなら、取るべき行動は変わっていただろう。選択肢の数が減っただけでも良しとすべき。そう考えていそうなルークに対し、ティナは疑問をぶつけてみた。

 

「ちなみに、元々はどうするつもりだったのですか?」

「ん?リノア達以外を一気に殲滅する予定だった。ティナは?」

「私ですか?私は、向かって来る者達を問答無用で斬り伏せるつもりでした」

「「・・・・・」」

 

似たもの夫婦である。何も知らない者から見れば、ティナの方が若干控えめに映る。だが言っておく。ティナに対話する意思は無かった。即ち、ティナがいきなり飛び出せば、ほぼ全ての者が反射的に構えてしまう。その時点で斬り伏せられる未来が確定してしまうのだから、ルークの行動と大差ない。互いにそれが理解出来てしまったが為に、無言で見つめ合う結果となったのだ。そんな気まずい空気を誤魔化すかのように、ティナが咳払いをする。

 

「んんっ!それで、どうしますか?」

「あ、あぁ・・・一番外側を取り囲む者達を倒してから様子を見るってのは?」

「その者達が、実はリノアさん達の味方という可能性はありませんか?」

「そう言われると・・・」

 

ティナに言われて気付く。今のルークとティナには、敵味方の区別がつかない。見方によってはどちらも味方と言えるかもしれないし、全員が敵という可能性だって残されている。結局言えるのは、情報量が不足していて答えが出ないということ。よって、互いに時間を気にする2人が導き出した答えは同じ物だった。

 

「「行ってから考えよう(ましょう)!」」

 

結局そうなるのかと思わなくもないが、情報収集をした甲斐が少しはあった。勘違いで斬られる犠牲者が居なくなったのだから。そしてもう1つの成果が、突撃の仕方である。

 

 

 

地下通路の出入口からではなく、リノア達が居るであろうログハウスの結界横に転移したのだ。これには膠着状態だった暗殺者達も反応が出来ない。そんな者達に警戒しつつ、ティナはルークに向かって声を掛けた。

 

「「「「「・・・・・」」」」」

「この結界は通り抜ける事が出来ないのですか?」

「出来ないな。発動させた者が許可しない限り、製作者や魔力を込めた者でも無理みたいだった」

「そうですか。ですが、そうでなければ安全を保証出来ませんよね」

「まぁな。さて・・・オレはフォレスタニア帝国皇帝、ルーク=フォレスタニアだ。お前達は突っ立ったままでいいのか?」

「「「「「っ!?」」」」」

 

ルークの挑発を受け、我に返った者達が反射的に飛び掛かる。が、何の策も無しに向かって来る者達に苦戦するはずもない。ルークは飛び掛かって来た者達を容易く斬り伏せ、その場から動かなかった者達へと視線を向けた。

 

「で?残った者達は様子見か?それとも敵対する意思が無いのか?」

「わ、我々は――」

 

ルークの問いに、初老の男性が答えようとする。だがそれを遮る形でルークが言い放った。

 

「まぁお前達が何を言おうと、オレが信じるとは限らないんだけどな?」

「それは・・・」

 

ルークの言葉に、初老の男性が言葉を失う。この場でルークが信じるのは、ティナを除いては姿を見せないリノア達だけ。どう足掻こうと、ルークを納得させる答えを持ち合わせていない事に気付いたのだ。

 

 

そんな相手の反応を確かめているのか、はたまた単に性格が悪いだけか。ともかくルークは悪い笑みを浮かべたまま、男性の言葉を静かに待ち続けるのだった。